ボズの日記(Diary of VOZ)

VOZ(声)。ついついアタマの声に騙されてココロの声を聞き逃してしまいがちな毎日ですが、ダレカの声にも耳を傾けながら書いていきたいと思います

コパカバーナ怪談

 昨日のブラジルのカーニバルの話のついでに思い出したんですけど、サルヴァドールのカーニバルで思いっきり踊ったあと、リオデジャネイロに行ったんですね。

 もうカーニバルは終わっていて、後かたづけも一山越えて、街は落ち着きを取り戻そうとしている、そんなタイミングでした。

 僕たちの宿泊するホテルはコパカバーナにありました。大西洋に面したリゾート地です。古い洋楽ファンでしたらバリー・マニロウのヒット曲でお馴染みの名前ですね。

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 ただし、この歌に出てくる「コパカバーナ」はキューバハバナにあるクラブのこと。で、そのクラブのモデルになったのはニューヨークに実際にあった「コパカバーナ」という店で、でも、この曲を思いついたのはブラジルのコパカバーナのホテルだったというなんともややこしい背景があるんですよw。

 中学の時にこの曲が大好きだったので、コパカバーナに到着した時はうれしくて頭の中でガンガン鳴らしながら、すっかり僕のテンションは上がりまくっていました。

 宿泊するホテルはかなり歴史がある古い建物でした。相変わらず、コパカバーナを頭の中で歌いながらチェックインしていると、僕たち一行は5人だったんですが、僕だけ違うフロアになると言われたんです。

 まあしょうがないかと思って、みんなでエレベーターに乗って、他の4人は先に降りて、僕は確か2階上くらいのフロアに降りようとしました。

 エレベーターが開いた時、うわっヤバい、と思ったんです。僕は別に霊感とかないですけど、全身を悪寒が走りました。他の4人が降りたフロアとは全然空気感が違ったんです。そのフロアには全く人の気配がなくて、廊下の古いカーペットの色が濃い赤だったのをおぼえています。僕はふと映画の「シャイニング」に出てくるホテルを思い出しました。

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  バリー・マニロウから「シャイニング」って、落差があまりにデカすぎて、僕はすっかり混乱してしまいました。

 すぐみんなで外に出かける予定だったので、部屋に走り込んで荷物だけ置くと大至急ロビーに行きました。そして、外で夕食を食べお酒を飲みました。僕はホテルの嫌な感じは覚えていましたが、かなりお酒が入っていたのですぐ眠ればいいだろう、くらいに思って部屋に戻るとベッドに入り本当にすぐに眠りました。

 どれくらい時間が経ったのかはわかりません。気がつくと体がまったく動かず、自分が金縛りにあっていることが分かりました。でも目は開けることができました。僕の部屋は海に面していたのですが、その窓を通して手がいくつも伸びてくるのが見えたんです。寝ぼけているのかもしれないと思ってじっと見ていてもその手は消えません。そのたくさんの手は何かをつかもうとするような動きをしていました。

 僕はパニックになって、とにかくもがくだけもがいて、何か叫ぼうとしました。しばらくして足元から何か重いものがすうっと剥がれていくような感じで体が動くようになると、すぐにベッドの近くにあったライトのスイッチを入れました。明るくなると同時に窓からのびてきたたくさんの手は消えました。

 そして、僕は部屋中の明かりをつけたまま、呆然としたまま朝までずっと起きていました。

 

 こんな経験をしておいて何なんですけど、僕は幽霊や怪奇現象は絶対ある、とか主張したい気持ちは全然ないんですよね。そういうことってあるかもしれないし、ないかもしれないってとってもグレーなスタンスでいます。20年以上も前だから、なんか悪い夢でも見ていたのかなあ(それにしては鮮明でしたけど)と思わなくもないですし。

 教訓はただ一つで、なんか嫌な予感がした人や場所には近づくな、それだけは自分に言い聞かせています。

 季節外れの怪談ですみません!お口直し(?)に昔僕が書いた「コパカバーナ」の解説記事をどうぞ。

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