ビリー・ジョエルの東京ドーム公演は盛り上がったみたいですね。
ビリー・ジョエルというと、20年近く前にNHKで「英語でしゃべらナイト」という番組があって、彼がインタビュー出演したときのことを不思議によく覚えています。
番組の中で、日本でアーティストを目指す人へのアドバイスを求められた彼は
"Start small" 小さく始めろ
”Just work in the place where you belong.” まず自分の今居る場所でがんばれ
”It's not about being a star, it's about being good.”
スターになることじゃなく、上達することが大事だ
と言ったことを話していました。
それから、本当に上手く(Good)になれば、ファンはできる、とも言っていました。
とにかく、Goodになれ、と言う意味のことを繰り返していたように思います。
スーパースターの口から出たとは思えないほど地味でベーシックなアドバイスです。
でもたぶん、これは彼の実体験から得た、ガチで本気のアドバイスのように僕は思いました。
彼は売れるまで相当時間のかかった人で、長い下積み生活を経験しているんですね。
地元ニューヨークを拠点にデビューしましたが成功せず、マネージメントとのトラブルもあり、逃げるように西海岸に向かい、サンフランシスコのレストランでピアノの仕事を見つけますがそこもすぐにクビになってしまいます。
すがるような思いで登録した芸能プロダクションの斡旋で、ロサンゼルスの「エグゼクティヴルーム」というピアノ・バーのオーディションを受け合格すると、約半年間彼は専属歌手の仕事をやることになります。
そのとき彼は”ビル・マーティン”と言う芸名を名乗って、30分のステージを一晩に5、6本、それを週6日もやっていたそうです。
そして他の多くの専属歌手が根を上げて辞めてしまう中、彼は必死にステージを続け、それだけじゃなく、客を喜ばせるために工夫もし続け、その結果どんどんファンが増えていったといいます。
芸名でやっていた彼は”別人になりきった”つもりでコメディアンっぽく演奏したりしたそうですが、お客さんは彼がもともとそういうキャラのアーティストなんだと思い込んでしまったんだ、と彼はのちに回想しています。
ライヴでのビリー・ジョエルは、、毎回そのエンターテイナーぶりに驚かされますが、この下積み時代の経験が生きているんでしょうね。
また、この当時の経験から生まれたのが代表曲「ピアノ・マン」なんです。
「ピアノ・マン」
芸名で、本来の自分の望んでいたスタイルじゃないパフォーマンスをやることになっても、そこで彼は腐らず最善を尽くし続けたわけですね。
きっと彼の言う”Good”とは、単なる”演奏技術”のことじゃなくて、お客さんの前でパフォーマンスをする”現場”で”実践”で学んで身につけることも、きっとかなり含まれているんじゃないかと僕は思います。
僕はいつも行動より、ああだこうだ考えてしまうことの方が先立ってしまう人間なので、彼のこの言葉を思い出すことが多いんです。
彼のこのアドバイスは、ジャンルを問わず、何かやりたいことがある人へのアドバイスとして共通なものなののような気がするんですよね。
やりたいことがあるなら、それに向かって
自分が今いる場所で、自分のやれる小さいことから、最善を尽くしてゆく。
自分に不足しているものばかり気にしたり、自分からはるか遠い場所のことばかり思いを馳せていても、行動力のブレーキになってしまうだけかもしれないですしね。。