「イカゲーム2」見たので感想を書きます。
前作と同じパターンのまま、違うメンバーで新たなゲームをやるのかなんて安直に考えていたら、全然違っていました。もちろん、ゲームはやるのですが、今回はそこがメインじゃないですね。
とんでもない借金を背負って韓国国内にいても地獄、ゲームに参加するために来たこの孤島でも目前に死がある、という極限まで追い込まれた人間たちの人間模様、ゲームを続けるかやめるかとどう判断するのかというせめぎ合いが中心に描かれています。
ゲームそのもののエンターテイメント性や予想外の展開、ドラマ性はやや弱くなっているので、前作を好きだった人の中にはがっかりした人もいたのかなという気もします。
で、僕はやっぱりハマってしまいました。
韓国エンタメ好きの人はハマっちゃうんじゃないでしょうか。ステイホーム期に僕は韓国ドラマや映画を相当な数を観たので、「イカゲーム2」の出演者の豪華さにびっくりしました。前回カメオ出演っぽかったイ・ビョンホンとコン・ユが今回はがっつり絡んでくる他、カン・ハヌル、イム・シワン、 イ・ジヌクとかのバリバリの主役級、そこにまた元BIG BANGのT.O.Pとか元IZ*ONEのチョ・ユリとか加わって、これほどのメンツが集結した作品は今までなかったでしょう。日本のドラマで言うと「VIVANT」のラインナップに近いかも。
これほどの俳優が揃っちゃったので、活かさなくちゃいけない、という意識が、良くも悪くも今回の演出に影響が出たような気がするんですよね。それぞれの見せ場を作ったおかげで、演技(コン・ユのあんな芝居は初めて見ました)を堪能することができましたが、同時にそのためにちょっとスピード感が落ちたかもしれません。
あと、今回は韓国エンタメの「大鉄板」である<復讐>がメインテーマになり、そこに<バカ息子に対する老いた母の無償の愛>というこれまた韓国エンタメならではのテーマが随時盛り込まれ、それに<銃撃戦>という韓国アクション映画お馴染みのシーンもたっぷりあって、まさに<ザ・韓国エンタメ>になってるなあ、と僕はうなってしまいました。
それで、本編は「イカゲーム3」があることを確信させる”バッドエンド”で終わるわけですが、見終わった後のこの重苦しさはなんだろう、としばらく考えて「スターウォーズ 帝国の逆襲」が頭に浮かんできました。もちろん、あれほどの傑作には「イカゲーム2」はなってはいないと思いますが、作り手は「スターウォーズ」シリーズを参考にしているのは間違いない気がします。
考えてみると「イカゲーム」は「スターウォーズ」3部作(3~5)の物語の骨子になったと言われるジョーゼフ・キャンベルが「千の顔をもつ英雄」で説いた「神話の形式」にのっとっているところがありました。
主人公は日常世界から危険を冒してまでも、人為の遠く及ばぬ超自然的な領域に出掛け勝利し、不思議な冒険から帰還する、という。
その冒険によって意識が大きく変わった主人公が、正義感を持つ”英雄”として再び”異界”に向かうが、彼の英雄的な行為は決して他の人たちの幸せには結びつかない、という苦さを残したのが「イカゲーム2」です。
そう思うと、イ・ビョンホンが演じる<フロントマン>がダース・ベイダーにしか見えなくなってきて、ドラマ終盤の銃撃戦も<血なま臭いスター・ウォーズ>だと思いました。作り手もわざとスターウォーズを匂わせているだろう、僕はそう確信しました。